色が生まれた日

20XX年XX月XX日。その日も、いつもと変わらない普通の日だったと思う。
このように、色は突然変異で生まれた説と、いや、徐々に色は生まれていたのだという説がある。
ここでは宇宙から色がやってきた説は考えないこととする。


とはいえ、色は、あまりにも唐突に私の世界にやってきた。
信号は赤と青と黄色でできている。
空は青い。
標識は黄色い。
私は世界中の色にそんな風に名前をつけながら歩いた。



この世紀の大事件は、意外にものほほんとした形で展開している。
コンビニがCDショップになり
CDショップは花屋になり
花屋は歯医者になった。



一ヶ月もすると、あの事件のことを取り立てて考える人ももういない。
もしかすると色は初めから存在していたんじゃないかというのが、今の私のおおかたの見解だ。